日本は戦後、利益、能力主義に走り、物質的には豊かになりました。けれど、この合理的で生産制の高い社会の中で人は「能力」という表面的、画一的価値判断で人を比較し、自分をも位置づけレッテルを貼る様になってしまいました。
ある高齢者が、「私はもう何も役に立たないから生きていても仕方がない」と淋しそうにつぶやきました。 |
果して生きる事の真理とは何でしょうか・・・。
命の尊厳は肉体が衰えてもきっと変わりはしない・・・。 |
この絵のモデルは、90才の老婦人で、若い頃にご主人に先立たれ六人の子供を一人で育てて来たという方です。彼女の手をスケッチしながらこの手が六人の子のお弁当を作って来たのだ・・・と思った時、何てきれいな手なんだろうと思った。 |
人に本当に必要なのは居場所ではなくて自分の存在を許してくれる人間・・・。 あなたはあなたのままで良いと認めてくれる人であると思います。 |
もしも、自分が本当に愛されているのかどうかを知りたくなったら自分のありのままの姿を喜んでくれているか・・・という事をじっと考えてみることです。 |
人に与えるべきは居場所ではなくて相手の存在を喜んであげるという心・・・。
人と心でふれあい、生を尊ばれ天に喜ばれて天寿を全うする事が出来たら、それは何と美しい事でしょうか。
長い年月、喜びと共に多くの辛苦を経験し、あらゆる学びを得た魂が天に召される時「死」は喜びと共に迎えられる。私はそう思います。 |
この絵の制作中マライアキャリーの「Looking in」を流していました。この老婦人の人生への讃美に感動しつつ・・・。 |