「時代の影」F20号 2006年 第27回全国水墨画秀作展 優秀賞(上野の森美術館) Mone Uchida
―いのち 生命―
時代の影
日本は戦後、勢い良く経済成長を遂げましたが、その根幹となった物質、能力、利益至上主義は人の命、心を二の次とした社会を作り上げてしまいました。

  この社会で人は人との本来あるべき命の交流が果たせずに、自らをも能力、生産制の元にレッテルを貼り、自己否定とともに精神を病む様になってしまいました。

現代ほど人の心の健康が損なわれている時代は他にはないのではないでしょうか。
 
いじめ、不登校、ひきこもり、リストラ、うつ病、老人の孤独・・・
そして、今悲しい事にこの国では自らの命を絶つ人がいまだに絶えずにいます。  

貴方が存在する。貴方がそこにいて
息をする。その事が何よりも尊いのです。

  貴方は貴方のまま、そのままでいい。
貴方自身が貴方を認め許してあげること。欠点は欠点として丸ごと自分を愛し、自分を許してあげること。
自分をせいいっぱい愛してあげましょう。人は自分を愛する事が出来ずにいると、他の人の欠点にも目をつぶる事が出来ずに人を心から愛する事が出来ないものです。もしも、貴方が不幸にも子供の頃身近な人(多くは両親)からありのままを愛される・・・という経験を経ないまま大人になってしまったとしたら・・・。

もしも自分を許されない存在だといつも感じているのなら・・・貴方は一生をかけて貴方の存在をありのままに許す人を捜す事が必要です。

それは例えば貴方の大家さんや寮母さんでもいいし、何かの師(先生)でもよいでしょう。あるいは一生の伴侶でもよいのです。
大切なのはその人が、安定した心の器をもった人であるということ。

その人の温かいまなざしを通して、貴方は本当の自分を発見し、生涯の心の平安を得る事が出来るのです。

  逆境の中で立ち上る・・・。
それは辛い事です。
けれど苦しみの最中に、この経験はきっと
自分の成長の為に与えられたのだと強引にも天への感謝の気持ちに切り替えられた時、
不思議とその人生は少しずつ好転し始める
様に私は思います。
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